「わからない」の類型化
こちらの記事で、コミュニケーションが上手くいかないのはお互いに原因が有るという話をしました。今日はそのコミュニケーションが上手くいかない理由をもうすこし掘り下げます。特に、話の聞き手の立場から、他人の話を理解できないことの理由を言語化してみます。
「話がわからない」の3類型
話が理解できないと一口に言っても、大きく3パターンあると考えています
1. 話が聞こえていない
話が聞こえていないということも厳密には2つあります。
一つは、物理的に聞き手に音が届いていないという状態。この場合は解決策は簡単で、単に静かな場所に行くか大声を出して話すかのどちらかになります。
もうひとつは、音声としては届いていても聞き手の頭を素通りしている状態です。
元も子もない話ですが、実はこれが一番原因として大きいのではないかと思います。
これは利き手側が悪意を持って聞き流しているというわけではなく、関心事があさっての方向に存在する場合によくこうなります。
「うわー金曜のこの時間なのにまたタスク増えるのかよ…21時に入れてた飲み会遅れるって連絡しないとな…」だったり、「さっき電話が掛かってきてたけどなんだろう、気になるな…」だったり、理由は様々ですが、少なくともその話以上に重要な事がある状態です。
他にも、上司と部下が会話しているときであれば、その話し方の態度次第では部下を萎縮させてしまい、防衛反応として音声が遮断されることもあります。
後者のケースでは話をする以前に関係性の構築からやり直す必要がありますが、少なくとも会話内容が今我々にとって重要であるというという意識をもたせるための工夫が必要です。
2. 話は聞こえているが、内容の理解ができない
これも細かく分けると3つになります。
1つ目は言語や単語・専門用語を知らないという状態。
例えば英語。話している内容が平易であってもインド人の英語は一般にリスニングが難しいと言われますし、その他自分が知らない英単語はそもそもどれだけ集中していても理解することはできません。
英語ならよくわかるこの現象ですが、日本語でも往々にしてよく起きる問題です。自分が勉強不足で一般用語を知らないのか、知らなくて当然の専門用語なのかの判別がつけばまだ良い方です。
特にイケてない社会人ほど、難しい横文字や専門用語を使ってマウントをとりがちです。質問をしても「こんなこともしらないのか」と言われる恐怖がありますから、話す側はできるだけ平易な言葉を使う必要があります
2つ目は論理に飛躍がある状態です。
当然ですが、論理に飛躍があれば聞いている方は理解ができません。しかし社会のリアルとして、そこまでキレイな演繹や帰納法によるストーリーで語られることは稀で(これは話し手のスキルの問題)、聞くに堪えない状態があります。
論理に飛躍や論理破綻があると、通常そこに気を取られます。「なぜそうなるのか」の理由を勝手に脳内補完し始めるので、「1. 話が聞こえていない」の状態に陥ることになります。
3つ目は言葉が曖昧で様々な解釈をし得る状態です。
これも2つ目と同様、その言葉のもつ意味を自ら推し量り、考えることに勝手に頭を使ってしまうので、「1. 話が聞こえていない」状態が招かれがちです。
横文字をつかったコミュニケーションにありがちです。バリューだったりビジネスモデルだったり、コンサルティングファームでもケースが異なれば異なる定義を持つものも少なく有りません。
3. 内容は理解出来ているが、その背景や意図が理解できない
話は聞こえているし、内容も論理的に理解できている状態です。通常この状態になれば、正しくコミュニケーションが取れていると思いがちですが、大切なのはここからです。
具体的に、話し手のその話の意図や背景、もっと言えばその話をするに至った経緯を知らないと、内容が理解できたとしても、仕事自体が前に進まないことがあります。
結局この話の背景にある、話し手の意図(裏にある目的)を正しく捉えられないと、言われたことしかしない、できない人になってしまいます。これは聞き手の意識として常に「Why」を持つべきというところと近いものだと思います。
すこし長くなりましたので、今回はわからないの類型化にとどまってしまいましたが、これらの「わからない」についての詳しい解決策は別記事に譲ることとします。
【Powerpoint】全ページ全オブジェクトを一括でグレースケール設定する方法
だいたいの企業では、コスト観点からカラー印刷は禁止されていると思います。
ペーパーレス化が進んでいる企業では資料は投影のみで、印刷することはめったに無い、ということもあるかもしれませんが、まだまだ紙に印刷して配布する文化が根強い企業も多いのではないでしょうか。
組織は戦略に従うと言いますが、資料は印刷に従う、というのもまた真です。
白黒印刷しか認められない環境であれば、予め資料もグレースケールで作成しておくというのがセオリーなのですが、やはり作成中はカラーで作成し、印刷のときだけ白黒設定にして印刷してしまう人は後を立ちません。
グレースケール設定の重要さ
それの何がいけないのか、という話ですが、論より証拠ということでまず具体例をご覧頂きます。
なにかこういった資料があるとします。
カラーでは、それなりに見た目は整っている様に見えます。
しかしこれをいざ白黒設定してそのまま印刷してみると、、、
この様に白で塗りつぶされているオブジェクトは、枠線なしでも白黒設定だと枠が強制的に印刷されてしまいます。
皆さんも一度はご経験されたことがあると思います。
最後のグレースケール設定を怠ったが為に、せっかく整えた見た目がめちゃくちゃになります。
グレースケールの設定方法
これを回避するためには、一つひとつのオブジェクトについて、プロパティを「グレースケール」に設定する必要があります。印刷設定をグレースケールにするのでは足りません。あくまでオブジェクト自体がグレースケールの設定になっていないと思う通りに印刷されません。
具体的には下記です。
- 「表示」タブ → 「グレースケール」
- オブジェクト(スライド中の箱とか図とか)を選択した状態で、「グレースケール」メニュー中の「グレースケール」を選択(元々は「自動」になっているはず)
通常、プレゼン資料は数枚から数十枚で構成されていますから、全スライド、全オブジェクトについてこのグレースケール設定をしてあげる必要があります。
1ページだけなら Ctrl+A で全てのオブジェクトを選択してグレスケ設定できるのですが、10ページあれば10回、100ページあれば100回この操作を繰り返す必要が出てきます。非常に面倒です。
マクロでの全ページ一括グレースケール設定方法
Officeでの面倒事は、全てVBAが解決してくれます。具体的にはこちらのコードのマクロを実行するだけです。
Sub GrayScale()
Dim sld As Slide
Dim i As Long
For Each sld In ActivePresentation.Slides
With sld
For i = .Shapes.Count To 1 Step -1
If .Shapes(i).BlackWhiteMode <> msoBlackWhiteGrayScale Then
.Shapes(i).BlackWhiteMode = msoBlackWhiteGrayScale
End If
Next i
End With
Next sld
End Sub
マクロの実行方法については他のサイトで語り尽くされているところですので、本記事では割愛します。開発タブを表示して、Visual Basic Editorを表示して、、というやり方が通常ですが、PowerpointにはExcelで言うところの「個人用マクロブック」に相当するものが存在せず、どのPowerpointファイルを開いても同じマクロを使うということがExcelの様に簡単には出来ません。
そこでアドインの出番です。
アドインの設定方法
少しだけややこしいですが、一度だけ設定してしまえばあとはどのPowerpointファイルを開いても、いつでも「クイックアクセスツールバー」に上記マクロが実行できるボタンを表示し続けることができます。
Step1. Powerpointのアドイン(ppamファイル)をダウンロードする
まずはアドインファイルをこちらのページからダウンロードしてください。
※無料配布のものになりますので、各人のPC環境の違い等による動作の不具合等の責任は負いかねますことを、予めご了承頂ければと思います。(Windowsのみ)
Step2. 適切な格納場所に保存する
手元に上記アドインファイルがある前提でお話します。
アドイン(ppamファイル)は下記パスに格納してください。
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\Microsoft\AddIns
(ユーザー名)の部分では、皆様のPCのユーザ名のフォルダを選択頂くことになります。Officeが正常にインストールされているPCであれば上記格納場所は存在するはずです。
Step3. Powerpoint上でアドインを読み込む
何でも良いのでPowerpointファイルを開きます。
- 「ファイル」→「オプション」→「アドイン」を選択
- 同画面下部にある「管理(A)」を「Powerpoint アドイン」に変更し、「設定(G)」をクリック
- 右側に並ぶメニュー中「新規追加(A)」をクリック
- Step2で格納したppamファイル「GrayScale.ppam」を選択し、「開く(O)」をクリック
- 「閉じる(C)」をクリック
これで、皆さんのクイックアクセスツールバー上に
この様なアイコンが追加されたかと思います。
利用方法
このボタンを押すだけです。
数百ページあるPowerpoint資料では数十秒かかることもありますが、通常は一瞬ないし数秒程度で開いているファイルの全てのオブジェクトがグレースケール設定になることがおわかり頂けるかと思います。
→
いままで諦められていた方も多いかと思いますし、このグレースケールの仕様に気づいていながらもうまい効率化方法が見つからず膨大な手間を毎回かけていた方も多いかもしれません。
ほんのちょっとしたことですが、皆様の業務効率化に役立てば幸甚です。
再掲:ppamファイルダウンロードはこちらから
コミュニケーションの大前提
就活生時代、コミュニケーション能力を売りに自己アピールをしていた人も多いことと思います。
実際、大学生が定義するコミュニケーション能力と社会人が求めるコミュニケーション能力の定義に大きな乖離があることはよく言われている話ではありますが、社会人になってから学生時代に「コミュ強」だったはずの人が職場でのコミュニケーションがうまくいかず悩む人は少なく有りません。
コミュニケーション能力とは
私なりのコミュニケーション能力の定義は「話し手の意図を正しく汲み、聞き手に対して自分の思いを正しく伝えることを通じ、物事を前に動かすことのできる能力」です。
気の利いた言葉で場を盛り上げることができることや、聞き上手で相談に乗るのが上手く、女子から恋愛相談をよく受ける、といったタイプのコミュニケーション能力もこの定義とは少しズレます。
このコミュニケーション能力が備わっている人は、驚くほど少ないのが実感値です。
「話し手の意図を正しく汲み」というのは、キャッチボールで言えば相手が投げた球をしっかりと受け止めること、「聞き手に対して自分の思いを正しく伝える」というのは、球を自分が正しく相手の構えているところに投げることをそれぞれ指します。
これに加えて「物事を前に動かすことのできる」というものを定義に追加していますが、どれだけ雄弁だったりどれだけ聞き上手であったとして、その会話が物事を進展させない限りは何ら価値を生まないということを意味しています。キャッチボールであれば、ちゃんと玉ねぎやじゃがいもじゃなくてボールを投げているか、というところでしょうか。
コミュニケーションの問題点
コミュニケーションを一切取らずにできる仕事というものは存在しませんので、誰もがこのコミュニケーションに苦労するわけですが、コミュニケーションについて非常に厄介なのは、
コミュニケーションが成立しないとき、聞き手は話し手の話し方の拙さを責めがちであり、話し手は聞き手の理解力のなさを責めがちであるということです。
プレゼンテーションの内容を聞いていて全く頭に入ってこない場合は、「こんな意味不明なプレゼン資料をつくりやがって」と怒る人こそいても、「このプレゼンが理解できない自分はバカなのではないか」と悩む人は本当に少ないでしょうし、
自分の話が全く理解できない相手に対し、「これくらいの論理や言葉も知らないなんて、勉強不足にも程がある、聞き手に学がなく頭が悪いのが悪い」と思う人こそいても、自分を責める人は本当に少ないと思います。
ミスコミュニケーションは双方の問題
コミュニケーションというものはキャッチボールと同じなので、球が相手に正しく届かない、相手の球がキャッチできないのはいかなる場合でも双方に責任があると考えるべきです。
受け手としては球の投げ手の肩が弱くてボールが届かないなら近寄ればいいですし、球が速すぎるならゆっくり投げてくれと言えばいいだけの話です。
同様に投げ手としても、受け手の構えている場所にきちんとボールを投げるべきですし、多少キャッチが下手くそなら変化球ではなくて、ゆっくりめのストレートを投げてあげればいいだけの話です。
キャッチボールなら双方は歩み寄るのですが、こと仕事上のコミュニケーションとなると途端に相手をバカだの能無しだの言い始めます。
相手の話がわからないなら質問をして理解するように努めるべきですし、自分の話が理解されていないと思うのであればわかるように噛み砕いてゆっくり話すように努めるべきです。
時間がない中そんなイチイチ人に併せてコミュニケーションスタイルを変えていられないと言うかもしれませんが、適切にコミュニケーションされずに生まれる仕事のアウトプットほど無駄なものは有りません。めんどくさがらずに会話をしないと物事は前に動きません。
細かいコミュニケーションスキルは色々と語られていますが、それ以前のコミュニケーションの大前提について意識的になるべきではないでしょうか。