正しさを如何に捨てるか
うちのファームには理系の院卒の方が割合としてそこそこ占めるのですが、理系の方にありがちな議論の「正しさ」に関する悩みというのがあります。
工学系の方はまだましなのですが、理学系で自然科学や数学を専攻していた方などは、コンサルティングのような答えの無い世界にやってくると面食らうことが多い印象です。
そもそもコンサルティングというものは答えがないビジネスの世界において、クライアントに対して答えを仮説ベースで作り上げ、答えを指し示すようなことが究極的な価値としては求められる業種です。
物理や化学の研究でも、仮説思考を基本とした実験アプローチをとることは通常なのでその思考プロセス自体で躓く人はほとんど居ないのですが、問題になるのはその議論の過程の「正しさ」のレベル感です。
ビジネスの世界は良かれ悪しかれ非常に多変数の世界です。物理学で言う三体問題どころではありません、複雑系の世界です。そんな世界でユーザ調査などした日には、当初立てた仮説が検証されたとは到底言えないようなものが出てくるかもしれません。
こういったシーンで、統計的に正しくない結論や、100%正しいと言えないことについて何のポジションも取れずに「解無し」となってしまうかどうかが一つの分かれ目です。
何かの調査や分析で100%正しい結論が導かれるのであればビジネスなんてとても簡単なものですが、そんなわけはありません。
100%の正しさなど当初から望むべくもありません。80%、いや70%の正しさであってもそちらに突き進むことができるかどうかが一つ、こういった理系人材の方に必要なメンタリティなのだと思います。